F/Tで上演された各作品、企画についての劇評アーカイブです。
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村川拓也の『ツァイトゲーバー』は、障害者の介助労働を描いた作品である(ひとまずこのようにいってよいだろう)。ここでは、舞台芸術と障害(者)の関係という、きわめて肝要な問いが、きわめて肝要な仕方で扱われていると思われた。本作の問いの射程を明らかにするために、最初に、舞台芸術と障害(者)の関係を巡っての一般的な考察を導入したい。
キム・ジェドク率いるモダン・テーブル『アウェイク』『ジョーカーズ・ブルース』への観客の反応は、礼賛か拒絶かの二極に分かれがちだったように思う。これは、どういうことなのか。この文章は上演カンパニーへのフィードバックとしても使われるそうなので、以下に、日本の観客の反応についても言及しながら、全体的な考察を試みたい。
フェスティバル/トーキョーのウェブサイトで「人間の筋肉の動きをデジタルで記憶させることにより、ダンス界のアイコンともいえるピナ・バウシュや土方巽などの振りを再現するデモンストレーション・パフォーマンス」「最先端のテクノロジーと身体言語としてのダンスとの化学反応」という触れ込みだった『ノーション・ダンス・フィクション』。筆者が事前に抱いた漠たるイメージは、舞台を観るうち、裏切られていった。
本作の演出家・臧寧貝(ザン・ニンベイ)は一九七二年生まれ。上海を拠点にしながら、これまでに数本のオリジナル作品から、ルイジ・ピランデルロの『作者を探す六人の登場人物』の上演、あるいは小泉八雲の『怪談』の翻案までを手がけ、二〇一〇年には独立演劇団体『将進場』(ランドステージング・シアター・カンパニー)を創設するなど、精力的な活動を展開している作り手である。
劇場に足を運ぶ直前に、この「バナ学バトル★☆熱血スポ魂秋の大運動会!!!!!」予告編の動画を見たときには、「ライトオタクがニコ動のMAD的なハチャメチャさを演劇に取り込んでみた」という程度の作品かと思って、実はたいして期待していなかった。その選曲やセリフは明らかに、今や日本のポップカルチャーの一大センターと呼ぶべきニコニコ動画の影響下にあったからだ。だが、その予想は完全に間違っていたとは言わないまでも、実物はそれ以上の何かであった。