劇評

ゲイ・ロメオ

F/Tで上演された各作品、企画についての劇評アーカイブです。
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先鋭を夢見る――フェスティバル/トーキョー12で観たアートと政治にまつわる所感


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 東京滞在の初日、私はセゾン財団の事務所に連れて行かれた。そこで、ヴィジティング・フェローとして森下スタジオで過ごす32日間のレジデンスで何が可能か話し合う予定だったのだ。

 まったく初めての来日だったため、日本のいかなる芸術的で文化的な体験を受け入れようとする気持ちがありながらも、シンガポールでは演劇およびその学問が政治的になっているという傾向もあり、心の奥底で描いていた優先事項の一つは、アートと政治、社会とアクティビズムの関わりを体感することだった。

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ポストリアリズムへの探求

セノ・ジョコ・スヨノ
翻訳:加藤ひろあき

 去る11月22日、にしすがも創造舎 (i) のグラウンドに大きな穴が一つぽっかりと口を開けていた。もともと耕作地であったように思われるその土地は手入れされることなく放置されていた。盛られた土の上にはシャベルが数本、ごろんと転がっている。そしていくつかの木箱、見たところコンテナのようなものが穴の横に無造作に置かれていた。わたしは最初、これはインスタレーションアートだろうと考えた。しかも、ごくありふれたインスタレーションだと。

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観客の主体性への振付――ダニエル・コック・ディスコダニー『ゲイ・ロメオ』


 確かにダンスが中心にあるとはいえ、あえて因習的な風俗としてのダンスに固執するこの作品を「ダンス作品」として論じるべきなのかどうか。むしろダンスに至るまでの手続き、そして(ポストトークでの本人の言葉を借りれば)ダンスを「正当化(justify)」する手続きに焦点をあてたパフォーマンスであり、とりわけ「観客」という制度への考察を鋭く掘り下げている点に注目すべきだろう。

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