劇評

Co-Lab:ソウル―ベルリン

F/Tで上演された各作品、企画についての劇評アーカイブです。
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ポストリアリズムへの探求

セノ・ジョコ・スヨノ
翻訳:加藤ひろあき

 去る11月22日、にしすがも創造舎 (i) のグラウンドに大きな穴が一つぽっかりと口を開けていた。もともと耕作地であったように思われるその土地は手入れされることなく放置されていた。盛られた土の上にはシャベルが数本、ごろんと転がっている。そしていくつかの木箱、見たところコンテナのようなものが穴の横に無造作に置かれていた。わたしは最初、これはインスタレーションアートだろうと考えた。しかも、ごくありふれたインスタレーションだと。

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空白の可視化、繋がり合う喜び


一方が「途中で一度も顔を合わせることなく公演を迎えるなんて、そもそも無理があるんじゃないか」などと危惧する声に、相手が「それなら、公演に至るプロセスそのものを見せていくことにすればいい」と応じるところから、上演は始まる。
二人の女性が上手と下手に座り込み、一方はペンで紙へ、もう一方はチョークで床へ、次々と何やら書き付けていく。そして舞台には2枚のスクリーンが吊り下げられており、片方にベルリン、もう片方にソウルでの光景が映し出される。それぞれ同じテーマに沿って撮っているらしく、固定されたカメラの前を繰り返し駆け抜ける様子や、バス停の前で自分自身が映り込むように風景を撮っている様子などが流れていく。

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