いよいよ上演の迫ったリミニ・プロトコル演出『100%トーキョー』
本番を前に、劇場で行われた通しリハーサルの模様をここで少しだけお伝えします。
この日集まった出演者は90人弱。中には、生まれて初めて劇場の舞台に立つ、という人もたくさんいます。
作品はまず、舞台上を全員が上手から下手へゆっくり歩くところから始まりました。
100人近くの人間が一斉に歩いてゆくのは、それだけで壮観です。
サッカーボール、楽器、仕事道具のペン、母親からもらった風呂敷、好きな本......全員が手には思い思いのアイテムを持っています。
100人は全員東京に住んでいますが、世代も生活も本当に多種多様でした。
本番では、舞台上の100人がいったいどんな人間なのか、少しづつ知ることができます。
そして、舞台上には「はい」「いいえ」の札が掲げられ、参加者は東京の縮図となって、様々な質問に答えます。 答えが真っ二つに分かれるもの、偏るもの、なかなか回答が決められないもの、質問によってその回答にも、はっきりと違いが現れました。 舞台上の様子はクイズ番組の○×クイズのようでしたが、投げ掛けられる質問には、答えにくいものや改めて問われると悩んでしまうようなものも沢山ありました。
100人の参加者が質問と回答を重ね、徐々に楽団<焚火>の生演奏が入り、舞台上には個人とも集団とも違う、不思議な一体感が生まれているようでした。
何より、参加者の皆さんが楽しそう!
演出のダニエル・ヴェッツェルさんの指示のもと、英語と日本語、ドイツ語、そして音楽が飛び交う中で三時間を越えるリハーサルは進められました。
・統計の監修をされた明治大学総合数理学部 准教授 中村和幸先生にお話を伺いました。
――今日初めて舞台上に立って喋ってみて、いかがでしたか?
今はまだ本番がどうなるか、想像がつかないところはありますね。あとは照明が熱いかな(笑)。
――舞台上の質問に関して、事前に予想していた結果と違うものもありますか?
イメージどおりのものが多かったですが、改めて実際の割合で見ると微妙なニュアンスの違いがあって、面白かったですね。
――観客の皆さんに、ここに注目してもらいたい、という点はありますか?
お客さん自身が、自分がどう答えるのかというのを舞台に投影して考えながら観てほしいです。百人もの人がいたら自分の考えを投影できる人が何人かはいると思うので、それを通じて逆に自分を見直す機会になるのかもしれません。通常の統計だと、全体の意識や大枠の割合として捉えがちですが、その中には個人個人の思いがあるということが分かると思います。実際に舞台上で答える人が見える、ということを使って、いろいろ考えられるのかな、と。
・リハーサル後、参加者の皆さんから東京の皆さんに聞いてみたい質問を、聞いてみました。
「あなたはディズニーランドが好きですか?」40代男性・豊島区
「東京のイメージを悪く言われたときにどう思いますか?」40代女性・世田谷区
「コンテンポラリーダンスを観た事がありますか?」30代女性・江東区
「東京に住んでいる理由を聞かせてください」30代男性・足立区
あなたはこれらの質問にどう答えますか?
本番ではいったいどんな質問が飛び出し、どんな回答が見られるのか。
「100%トーキョー」、いよいよ本番です。
結果はぜひ、劇場でお確かめください!