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本プログラムについて

演劇でなにができるのかまだ分からないので、とにかくシンプルなやり方がいいと思う。東日本大震災で被害を受けた地域の子供達が「震災ごっこ」を繰り返している話を人から聞いた。心理学的には震災の衝撃を克服するための行為だという。「地震だ。」と叫ぶと机の下に競って潜り込み、「津波がきた。逃げろ。」と叫ぶとみんなが一斉に少しでも高い椅子や机に上がる。この子供達の一連の行為に強いフィクションを感じた。克服するというより反復によってあの時を確認しているのだと思う。
演劇は結局、反復する行為だと思う。反復して、なにかを確認し続ける作業だと思う。公演の本番前に俳優が「新鮮な気持ちで」とか「初めてやるつもりで」とよく言われているけど、あれは嘘だと思う。演劇は演者も観客も反復されたものを体験するのだろうし、反復を体験できない演劇や反復する必要のない演劇はつまらないと思う。
とにかく、反復し確認すること。そこはどん詰まりだ。行き止まり。でも、まじめに反復し確認し続ければ、その限界を超えられるかもしれない。

村川拓也