本プログラムについて
創作ノート
『バラバラな生体のバイオナレーション!』は、竹の文化や歴史を考察し生み出された、新たなコミュニケーション方法を探る前衛的な演劇作品である。
本作の舞台装置は、様々な場所にインストールすることができ、その度に劇場に新たな息吹をもたらす。音楽を奏でることも、新たなコミュニケーション方法を提示することも可能なその装置は、考古学的、科学的な視点も持ち合わせている。劇場は未だかつて予想されなかった場所へと変貌するのだ。
演劇における身体とその記憶の関係を見出すため、われわれは作品創作のためのワークショップを行う。演劇は演じる者の身体によって形成されるのである。見る、聞く、体験する、感じる、話す、匂う、動く、楽しむ、蓄積する、覚える、そして思考する――これらの動作が作品創作のプロセスを決定づけていく。現実にある身体、動作、光、音・・・・・・それぞれの文脈を組み合わせることで、振り付けが構築され、詩や言葉が生み出されるのだ。役者たちは、竹の扱い方、衣裳や舞台装置をつくるための基本的な技術を、ワークショップで徹底的に叩き込まれる。その技術の鍛錬は役作りのためのプロセスの一つとして繰り返され、継続される。そして彼らは、舞台装置や自身が纏う仮面や衣裳と共に日々成熟していくのだ。
そのプロセスは、作品の枠組を形作るためのものではなく、新たなコミュニケーション方法を生成するためのものとして舞台上にも持ち込まれる。舞台空間は、創作プロセスの集積によって形成される。だからこそ、その空間が役者の身体と分断されることはない。仮面、衣裳、楽器や演じる者の身体で構成されたパフォーマンスとともに舞台は成長を続けるのだ。
ナンダン・アラデア