• 2014年11月30日
    フェスティバル/トーキョー14は閉幕いたしました。たくさんの方にご来場いただき、心より御礼申し上げます。

映像特集 『痛いところを突くークリストフ・シュリンゲンジーフの社会的総合芸術』

date

11月18日(火)~11月23日(日)

venue

東京芸術劇場 シアターウエスト

ticket

オープニングレクチャーは無料
各回500円(予約優先、当日共通)

schedule

11/18(火)19:00 オープニングレクチャー
11/19(水)19:00(A)
11/20(木)19:00(B)★
11/21(金)19:00(C)
11/22(土)11:00(A)
11/22(土)13:30(D)
11/22(土)16:00(B)
11/22(土)18:00(C)★
11/23(日)11:00(B)
11/23(日)13:30(A)
11/23(日)16:30(D)
11/23(日)19:00(C)

★ポストトークあり
11/20(木) カール・ヘーゲマン+花代(アーティスト)+島貫泰介(美術ライター&編集者)
11/22(土) カール・ヘーゲマン+鴻英良(演劇批評家)
※受付開始は開演1時間前、開場は30分前。

いずれも日本語字幕付上映

特集について

 本映像特集では2010年に49歳で他界するまで、ヨーロッパのアートや演劇界で挑発的な舞台や野外ハプニングなどで物議を醸し続けたクリストフ・シュリンゲンジーフの仕事に焦点をあてる。ジャンルの「枠」を全く無視する、極めて多様な作品群を残したこの異才アーティストはリヒャルト・ワーグナーが目指した「総合芸術」を現代において再定義したとも言われている。

スキャンダルを起こし続けたこの過激派多才アーティストはB級映画監督としてそのキャリアをスタートし、1993年にベルリンのフォルクスビューネにて、『100 Jahre CDU – Spiel ohne Grenzen』(100年のクリスト教民主連盟・無限の遊び)で舞台演出家としてデビューを果たした。その後、公共空間で行う作品も重視しながら、オペラ演出、テレビ出演や自ら設立した政党「チャンス2000」の選挙運動を続けた。全作品に、プロの俳優以外に、失業者、麻薬中毒者、知的障害者、ホームレスなど、作品や劇場の秩序を守る意向などほぼ持ち合わせていない社会の「アウトロー」出演させ、抑制することが不可能な、衝突を招く展開を目指した。特に公共空間において実施された作品では、一般市民が現場に大勢集まり、激しい口論や乱闘にまで発展、街の治安悪化にまでつながったこともあったという。政治的に「右」か「左」かに収まらず、定義のできないまま進行していく彼の作品に、同じ社会に存在している様々な政治・宗教グループは挑発され、それぞれが作品に強い反応を表すことで、社会が抱えている矛盾や無意識の葛藤を暴きだす。「映画」、「テレビ」、「芝居」、「オペラ」等、従来のジャンルとしての枠や製作システム、そして公共空間の在り方を根本的に問い直すことで、シュリンゲンジーフはヨーロッパの政治的・社会的アートに新しい領域を開いた。

シュリンゲンジーフは西洋のアートシーンで誰と比較することもできない仕事を実現したにも関らず、彼の舞台作品が日本で上演されたことはなかった。この特集は、この伝説的アーティストが残した大仕事、そしてその軌跡を新たに捉えなおす機会となるだろう。

クリストフ・シュリンゲンジーフ

クリストフ・シュリンゲンジーフ

1960年ドイツ生まれ。8歳で初めて映画を撮影。ミュンヘン大学で独語独文学、哲学、美術史を学ぶ。80年代初めから映画を撮るようになり、ドイツ三部作『アドルフ・ヒトラ―100年』『ドイツ チェーンソー大量虐殺』『テロ2000年』[1989-92]で一躍脚光を浴びる。90年代には、ベルリンのフォルクスビューネにて、『100 Jahre CDU – Spiel ohne Grenzen』(100年のクリスト教連盟・無限の遊び)で舞台演出家としてデビュー。フォルクスビューネで次々と作品を発表すると同時に、97年からは劇場外でもプロジェクトを展開し、同年、ハンブルク中央駅近くで一週間、ホームレスや麻薬中毒者のための「宣教所」『Passion Impossible – 7 Tage Notruf für Deutschland』(パッション・インポシブル―ドイツのための、7日間の緊急コール)を設置。98年の連邦議会選挙を機に「チャンス2000」党を設立、選挙運動を行う。また97年テレビ出演の活動もはじめ、『トーク2000』や『U 3000』といったトークショーで司会者も務める。2004年、バイロイト音楽祭では初めてオペラの演出『パルジファル』を手がけ、好評を博す。2008年に肺がんと診断されて以降、病気と死を大きなテーマに取り上げ、作品を展開。2010年2月、アフリカのブリキナファソでシュリンゲンジーフが計画した『Remdoogo』(アフリカのオペラ村)の起工式が行われた。同年8月21日、49歳で他界。2011年、ヴェネチア・ビエンナーレでは、彼の作品が展示されたドイツ館が国別参加展の金獅子賞を授賞。

 

オープニングレクチャー 「クリストフ・シュリンゲンジーフの芸術と非芸術」

カール・ヘーゲマン

ドラマトゥルクとして、「宣教所」ハプニング『Passion Impossible – 7 Tage Notruf für Deutschland』(『友よ!友よ!友よ!』に収録)や政党「チャンス2000」の選挙運動(『失敗をチャンスに』に収録)などのクリストフ・シュリンゲンジーフの多くの活動を支えてきたカール・へーゲマンを招き、オープニンレクチャーを行う。映像だけでは分からない、シュリンゲンジーフの素顔・哲学・思想に迫る貴重な機会。

 

11/18(火)19:00、入場無料 ※予約不要

講師:カール・ヘーゲマン(ハンブルク・タリア劇場ドラマトゥルク)

1949年パダボーン生まれ。フランクフルト大学にて哲学・文学・社会学を専攻し、79年に「アイデンティティと自己破壊」をテーマとした研究論文で哲学博士号を取得。80年にフランク・ヴォルフとともにクラシック音楽と軽音楽を大胆な発想と遊び心を持って融合させるフランクフルト・クアオーケストラを創設。84年から85年まで放送局ZDFにおいて勤務。 1980年よりドイツ国内の劇場(テュービンゲン室内劇場、ヴィースバーデン市立劇場、フライブルク市立劇場など)でドラマトゥルクを勤めた後、1992年よりベルリン・フォルクスビューネのドラマトゥルクに就任。以降、フランク・カストルフ、アイナー・シュレーフ、ルネ・ポレシュ、クリストフ・シュリンゲンジーフやニコラス・シュテーマンなど名だたる演出家たちと仕事を共にし、ドイツ語圏の演劇シーンを牽引し続けている。現在、ハンブルク・タリア劇場ドラマトゥルク(2011年より)。 2006年から2014年にかけてはライプツィヒ音楽演劇大学ドラマトゥルギー科教授を務め、多くの若手ドラマトゥルクたちを輩出した。へーゲマンはヨーロッパでの最も著名で革新的なドラマトゥルクの一人とされている。

 

(A) 時のひび割れ―クリストフ・シュリンゲンジーフのブリキナファソでのオペラ村

photo: Aino Laberenz, © Filmgalerie 451photo: Aino Laberenz, © Filmgalerie 451

シュリンゲンジーフの最後の大胆なビジョン:アフリカでのオペラ村。長年、アフリカに魅了されていた彼は「アフリカから学ぶ」をモットーに、「オペラ」の新しい定義を目指していた。シュリンゲンジーフが考えていた「オペラ」は人々が集う「社会的共鳴体」で、学校、病院、劇場、映画館など様々な機能を含む「村」であった。

このドキュメンタリーはブリキナファソの首都ワガドゥグーから30キロ離れたところに建設中のアフリカオペラ村のオープンに向けてのプロセス、2009 年~11年の場所探しから学校のオープンまで追う。闘病中にも関らず、このプロジェクトの実現に向けて様々な障害を越えていくシュリンゲンジー フの姿が印象に残る。

2012年/ドイツ/106分/ドイツ語、フランス語
 監督:シュビレ・ダーレンドルフ
上映日時:11/19(水)19:00、11/22(土)11:00、11/23(日)13:30

(B) 友よ!友よ!友よ!

友よ!友よ!友よ!©Ahoi Media

1997年10月、ハンブルク、シャウシュピールハウスの依頼によって行われたシュリンゲンジーフが仕込んだ「宣教所」ハプニング『Passion Impossible – 7 Tage Notruf für Deutschland(パッション・インポシブル―ドイツのための、7日間の緊急コール)』のドキュメンタリー。一週間にわたって元警察庁の空間に「宣教所」を設置。そこでホームレス、ジャンキー、救世軍員、俳優やアート関係者が大勢集まり、議論をしたり演奏したり、炊き出しのご飯を食べたりした。誰にでも開いており、誰もが声をあげられる、短い期間ではあったがこの場所が市長や様々な有名人を巻き込むハンブルク市である種のムーブメントを起こした。

1997年/ドイツ/73分/ドイツ語
監督:アレクサンダー・グラセック、シュテファン・コリント
上映日時:11/20(木)19:00★、11/22(土)16:00、11/23(日)11:00
★ポストトークあり(トークゲスト:カール・ヘーゲマン)

(C) 失敗をチャンスに

photo: Aino Laberenz, © Filmgalerie 451©Ahoi Media

シュリンゲンジーフが1998年のドイツの総選挙に向けて設立した政党「チャンス2000」の選挙運動を追うドキュメンタリー。「自分に投票しろ」というスローガンで、俳優、失業者や知的障害者 などがこの党の国会議員候補となり、シュリンゲンジーフと共にドイツ全国で街頭演説や広報を行う。党の設立総会からテレビCMの製作まで、選挙運動のルールを調査するこの政党の活動は、本気で国会での議席獲得を目指しているの か、政治界の風刺なのか、真意が不明なまま活動が広がり、ドイツ語圏のメディアに大きく注目された。

1999年/ドイツ/94分/ドイツ語
監督: アレクサンダー・グラセック、シュテファン・コリント
上映日時:11/21(金)19:00、11/22(土)18:00★、11.23(日)19:00
★ポストトークあり(トークゲスト:カール・ヘーゲマン)

(D) 外国人よ、出て行け!

外国人よ、出て行け!“Ausländer raus” by Paul Poet, ©Filmgalerie 451

ウィーン歌劇場の真っ正面に設置されたコンテナハウス。屋根に巨大なバナーが付いている:「外国人よ、出ていけ!」。コンテナの中には12人の亡命希望者が滞在。通りすがりの人々が、コンテナの奥が見える小窓から彼らの生活を監視する。

2000年のウィーン芸術週間の一環として実現された一週間続くこのインスタレーションで、「観客」は毎日、外国人を一人選ぶ。選ばれた人はその直後に国外追放される。最後まで残る亡命希望者一人だけがトップ賞をもらうことができる。それは、オーストリアへの滞在許可だ。日増しにシュリンゲンジーフのコンテナ前に集まる人々の数は増加し、日々、殴り合いまでの激しい論争が繰り広げられた。多数のメディアや市民を巻き込んだ本作は、「演劇」の概念を拡張するものとして永遠に記憶されるだろう。

2001年/オーストリア/90分/ドイツ語
監督: パウル・ポエット
上映日時:11.22(土)13:30、11/23(日)16:30

F/T14上映特集限定のスペシャル・コンテンツ『プライベート・インタビュー「クリストフと私」』

クリストフ・シュリンゲンジーフの作品に10年以上関わってきた女優の原サチコ(現ハンブルク・シャウシュピールハウス)が、シュリンゲンジーフと長年共に仕事をしたクリエイター達にプライベートにインタビューしたビデオを、本企画の期間中シアター・ウエストのロビーで上映いたします。
上映期間:11/18(火)~11/23(日)

キャスト・スタッフ

技術監督:

寅川英司

技術監督アシスタント:

加藤由紀子

舞台監督:

壺阪英理佳

照明コーディネート:

佐々木真喜子(株式会社ファクター)

音響コーディネート:

相川 晶(有限会社サウンドウィーズ)

企画・コーディネート:

ウルリケ・クラウトハイム

日本語翻訳:

『時のひび割れ』    横堀応彦

『友よ!友よ!友よ!』 小畑和奏

『失敗をチャンスに』  戸田史子

『外国人よ、出ていけ!』古後奈緒子

字幕編集:

仲本拡史

プライベート・インタビュー
『クリストフと私』
インタビュー・映像編集:

原サチコ

制作:

横堀応彦、守山真利恵

特別協力:

東京ドイツ文化センター            GI_Logo_horizontal_black_sRGB

主催:

フェスティバル/トーキョー

マップ

東京芸術劇場 シアターウエスト

東京都豊島区西池袋1丁目8番1号

TEL. 03-5391-2111(代)

 

JR、東京メトロ、東武東上線、西武池袋線「池袋駅」。

西口より徒歩2分(「池袋駅」2b出口と直結)

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