マレビトの会『HIROSHIMA-HAPCHEON:二つの都市をめぐる展覧会』1(演出:松田正隆)。内容・形式双方におけるこの作品の特徴は、既にこの表題の内に語られている。すなわち、内容としては「HIROSHIMA(ヒロシマ)」と「HAPCHEON(ハプチョン)」という二つの都市、人類史上初の原子爆弾による被害を蒙った街と、それに深い関わりを持ちながら、一般的にはそのことが忘却されているもう一つの街とがその主題であり、形式的には、「展覧会」としての演劇という風変わりな、しかし、本フェスティバルのコンセプトである「演劇を脱ぐ」という言葉にいかにも相応しい試みが本作では採用されていた2。