都市におけるアートと社会の関係を問い直してきた現代美術家の椿昇。F/T13のテーマに呼応する椿が今回着目したのは、数千年も前に人類が創り出し参照してきた物語=ギリシャ悲劇「アンティゴネー」と、そのテキストが散りばめられたエルフリーデ・イェリネクの戯曲『エピローグ?』だ。椿はこの二つのテキストから想を得て、あらゆる音、声、言葉を集め、分解、断片化させる巨大バルーンのインスタレーション作品を制作。東京芸術劇場アトリウムに浮かぶ牛の頭を象った本作は、空前のスケールで、フェスティバルを訪れるすべての人々に強い印象を与えるだろう。
椿 昇
PROFILE京都造形芸術大学教授/美術工芸学科長
1953年、京都市生まれ。京都市立芸術大美術専攻科修了。80年代に「関西ニューウェーブ」を代表する作家として活躍。森村泰昌、宮島達男などとともに、展覧会「アゲインスト・ネーチャー」(89-90年に全米を巡回)に作品『フレッシュ・ガソリン』を発表。1993年のベネチア・ビエンナーレに出品。2001年の横浜トリエンナーレでは室井尚・横浜国立大教授と組み、巨大なバルーン『インセクト・ワールドー飛蝗(バッタ)』を発表。2003年水戸芸術館で「国連少年展」。2002年に、イデビアン・クルー『くるみ割り人形』、2005年にはアルカサバ・シアター『占領下の物語Ⅱ』の舞台美術を担当。2009年京都国立近代美術館「GOLD/WHITE/BLACK」展。2010年六本木アートナイトメインアーティスト、瀬戸内国際芸術祭で2つのプロジェクト制作。2011年、妙心寺退蔵院障壁画プロジェクト、金沢21世紀美術館ワークショップ。2012年霧島アートの森「PREHISTORIC_PH」展。アートと社会の関係を問い直す衝撃的な作品やシステムを提案している。京都造形芸術大学教授/美術工芸学科長。
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- 2013/11/29 『KEINE STIMME.-声のない。 inspired by EPILOG?』特設サイトfragmenta.net公開!!